2009年7月3日

Ubuntu Desktop でできるマルチメディア処理

Ubuntu Desktop で出来るマルチメディア処理についての概要です。個別の詳細記事や関連のある記事は参照の形でリンクを貼ってあります。

コーデック

各種動画・音声フォーマットに対応したコーデックは動画・音声ファイルの柔軟な作成において必須です。これがインストールされていないと対応するフォーマットに変換することは出来ません。一括して便利な変換環境を提供してくれる FFmpeg や Avidemux がありますが、指定のフォーマットに変換するにはそれぞれ対応するコーデックが必要になるのでインストールしておく必要があります。

FFmpeg 等のアプリケーションのインストール時には必要なものは自動的にインストールしてくれますが、一応対応しているものとして代表的なコーデックライブラリを書いておきます。

動画

libx264 - H.264 コーデック
libxvid - xVid コーデック
libtheora - Theora コーデック

音声

libfaac - AAC エンコーダ
libmp3lame - lame mp3 エンコーダ
libvorbis - ogg コーデック

FFmpeg

libavcodec (動画・音声のコーデックライブラリ)、libavformat (動画・音声のコンテナライブラリ) 等を含む動画・音声変換ソフトウェアです。 libavcodec が様々なコーデックをサポートしており、様々なマルティメディア処理系のアプリケーションが利用しているので、インストールは必須です。

本来はコマンド端末からコマンドで変換オプションを指定するものですが、便利な GUI ラッパーが存在します。

WinFF

FFmpeg の変換を GUI で簡単に操作できます。フォーマットとオプションを指定して実行すると自動的にコマンド端末で FFmpeg が動画を変換してくれます。

See Also: FFmpeg で 3GPP High Efficiency Advanced Audio Codec (HE-AAC) を使う

Realtime/LowLatency カーネル

・リアルタイム性能を向上させるカーネルの導入

「Realtime/LowLatency カーネル」を導入すると処理の遅延を軽減できるので音声の編集がやりやすくなります。 Ubuntu 12.04 以降では「linux-lowlatency」パッケージで導入できます。

※ このカーネルは LowLatency カーネルです。Ubuntu におけるリアルタイム性能とカーネルの詳細については下記を参照してください。

Ubuntu Japanese Team Wiki - UbuntuStudioTips/Setup/Kernels

インストール後はブートローダでリアルタイムカーネルをブートし、正常に起動すれば OK です。

・リアルタイム処理能力を向上させるチューニング

「Ubuntu Studio」のパッケージの一つである「ubuntustudio-controls」パッケージを導入すると「A/Vプロダクションシステム」を手動で設定できます。この設定は audio グループに属するユーザに適用されるので、自分のユーザをグループに追加しておきます。

GUI から設定する場合は、「ユーザとグループ」設定から自分のユーザの「高度な設定」を開いて、「ユーザの権限」の「オーディオ・デバイスを使用できる」を有効にします。


Community Ubuntu Documentation - Ubuntu Studio Contorols

Linux Salad - 制限を緩めてリアルタイム処理を有効にしよう!

/etc/security/limits.conf を設定しマルチメディア処理を向上させる方法が非常に参考になります。

メディア編集ソフト

動画編集ソフト

Avidemux

便利さを重視した動画・音声変換及び動画編集ソフトウェアです。コーデックライブラリを直接使用するので FFmepg を必要とせず、 Ubuntu において標準では FFmpeg で出来ない MP4(H.264 AVC/AAC-LC)変換を FFmpeg をまったく使用せずに行えます。ただし、このソフトでは「VP6」の変換は出来ません。


動画を読み込んで指定した動画フォーマットと音声フォーマット、コンテナ(形式)を指定すればそのフォーマットで動画を変換してくれます。それぞれのフォーマットはビットレートや品質等の対応する詳細なオプションを GUI から簡単に指定できます。また、簡易的ながら動画編集機能も有しており、フレーム単位での動画の切り取り・変換やリサイズ等の動画編集も行えます。

See Also: Avidemux を使った MP4(H.264/AAC)動画の変換

Kdenlive

非常に使い勝手の良い KDE ベースのノンリニア編集ソフトです。直感的なインターフェースを持ち、簡単な動画編集ならこのソフトだけで十分です。強制終了の高さに目を瞑ればの話ですが。


See Also: Kdenlive を使った動画編集

Cinelerra

強力な機能を持つノンリニア動画編集ソフトです。しかし、 PC のスペックによってはまったく使い物になりません。

・Launchpad PPA - Official Akirad Repository (Ubuntu 9.10 ~)

$ sudo add-apt-repository ppa:akirad/akirad

OpenShot


Ubuntu で最も有効に使えるようになるであろうノンリニア動画編集ソフト。使い勝手は良好です。

See Also: ノンリニア動画編集ソフト OpenShot による動画編集

VLMC

何でも再生する優秀なプレーヤー「VLC media player」を開発している「VideoLAN」が開発中のノンリニア動画編集ソフトです。これも将来性が楽しみな動画編集ソフトです。

・ VLMC Demo



Lauchpad 上でリポジトリが公開されています。

・Launchpad PPA (Ubuntu 10.04)

$ sudo add-apt-repository ppa:webupd8team/vlmc

音声編集ソフト

Audacity

使いやすいサウンドレコード・編集ソフトです。レコーディングには FFmpeg の libavcodec を使用します。生オーディオの録音、既存のサウンドの切り取りや貼り付け、特殊効果の付与等が簡単にできるので、簡単なオーディオ編集にはもってこいのソフトです。


Ardour

Linux 最強と目されるデジタル・オーディオ・ワークステーションです。本格的な録音、編集、ミキシングがこれ一つあればできます。 JACK と連動しているため各トラックに対して柔軟に様々な音源を取り込むことも可能です。


See Also: JACK を使用した Linux における柔軟な音声編集

ドローイングソフト

Gimp

言わずと知れた多機能グラフィック編集ソフトです。このソフトウェアの開発に使用された GUI ツールキットが「GTK (Gimp Tool Kit)」であり、このツールキットは GNOME 環境を中心に様々な GUI 環境に使用されています。 Linux での使用は非常に安定して動作します。


Ubuntu においても、Wacom のペンタブレットのデバイスをインストールすれば筆圧感知機能が使えます。

Wacom ペンタブレットのデバイスは Ubuntu のリポジトリに用意されているので、使用する際はインストールしておきます。

# sudo apt-get install wacom-tools xserver-xorg-input-wacom

Gimp で筆圧感知機能を有効にするには、メニューから「編集」→「環境設定」→「入力デバイス」→「追加された入力デバイスの設定」でペンタブレットの機能を有効にします。この設定はシステムがペンタブレットを認識していないとできないので、ペンタブレットを接続して行います。 Wacom のデバイスを選択し、「モード」を「なし」から「画面(もしくはウィンドウ)」にするとそのデバイスが有効になります。変更したら「現在の入力デバイスの設定を保存」を選択すればその設定の保存が出来ます。



なお、特にインストールの仕方に関して記述のないソフトウェアは Ubuntu のリポジトリに含まれているものです。 APT や Synaptic でインストール可能です。

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